イベント

2020年3月 綴れ糸染めワークショップ


玉川屋では色々なワークショップを開かせて頂きますが

ぜっかくならば、ご自分でお召しになる

着物や帯にちなんだ、もの創りに繋がるものを・・・と

心がけてもおります


今回は、20余年続けて、秋に個展を開いて頂いております

京都・西陣の「爪描き本綴帯」の 「服部綴工房」さんのご協力で

綴帯につかう、緯糸(よこいと)をご自分で染めて頂く、ワークショップを開くこととなりました。


 ( "爪描き本綴帯" は、"つめかき"と読みます。

  爪を鋸の刃のようにギザギザに鑢で研いで、そのギザギザを櫛の歯のように使って

  経糸(たていと)に、緯糸(よこいと)を糸を掻き寄せて織る事から、こうした名称で呼ばれます

  その技法の詳細も、またあらためてお伝え出来ればと思います)










糸を染める染料は、「歯根」の紫

赤味・青味を共備える色合いは、

帯とすると、お着物の地色を選ばない、

また、洒落感と格調とを、供えた色味となります


今回は、ワークショップにて染め易い様に、色の出やすい中国産の歯根を使っての体験となります



染める前の準備として、抽出用の液剤を使い

歯根のチップより、染める染料を作ります








下の写真をご覧頂くと分かりますが

染料に直截、生地を浸けてみると

この段階では、「紫」ではなく「ピンク」の様な赤味の色が

映ります







染料を抽出している間に、

媒染(ばいせん)と呼ばれる、金属分と反応させて色を発色させるために

アルミの成分の含まれる媒染剤に、染める糸を浸けてやります









先ほど、紫根のチップより注した染料をガーゼで濾して

糸を染める染料を用意します


ガーゼからは赤い液がしみ出して、

ちょっとホラーな感じも・・







コンロでぬるめに温めた染料に、白い糸を入れてやると

あらかじめ媒染剤に浸けてあった糸は、綺麗な紫に染まって行きます






束に結ばれた糸を、

ムラにならないように、2本の棒を使いながら

繰って染めてまいります







染めた糸の色味も、徐々に深みを増すのが

ご覧を頂けることと思います







染め上がりの糸の、綺麗な色映りです







お時間がありましたので、

染めた半量の糸を、さらにもう一度染めました


二度染めた糸は、紫の濃さがより増してまいります







染め上がりました糸は、綴帯と同じ生地に織った後に

ご希望によって「カードケース」または「帛紗入れ」に

お作り致しました




一色に見える、紫の糸の束も

実際には微妙な濃淡に染まっておりますので

織り上がった生地には、しぜんなグラデーションが浮かび

帯と同様の、趣きを、お楽しみ頂ける事と思います




そうしたお話の中で、ご参加の方から

  「今日、自分で染めた糸で帯は織れるの?」 とのご質問があり


それに、対する

  「帯地には量的にも、堅牢度からも、使えませんが

    帯の柄の部分に、織り込んで、帯にすることは出来ますよ・・」

との、機屋さんの返事で、



正倉院麒麟の柄をお気に召して

帯のお誂えをご検討していたお客様から、


当初は、地色の変更をベースの予定だったのですが





ご自分で染めた紫紺の糸を使って、柄を織り出す事のご相談を頂き

地色も、紫根の色に近い、深い紫を選び





綴帯の帯として、織り上げました






織り上がりました綴帯は

玉川屋での観劇会の折にも、お締めを頂きました




一本一本、図案から誂えて織る事の出来る

綴帯ですので

こうしたご提案をさせて頂くことも出来ました





ご自分の手で、体験をしてみたり、お品作りをに係わってみると

お召しになっての楽しみもより増えますし

お持ちのお着物や帯への愛着も、いっそう深くなる事と思います


色々なワークショップも、引き続き企画してまいりますので

どうぞお楽しみを頂ければと思います






 







 

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